第11回院生ゼミ

2023.07.19.第11回院生ゼミ
本日は,第11回院生ゼミが行われました。
本日もとても有意義な学習が出来たこと,新たな見方・考え方を獲得できたことにとても喜びを感じています。

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【ナレッジマネジメントの考え方に関して】

三井先生から,ナレッジマネジメントの考え方に関するお話をいただきました。

ナレッジマネジメントの「ナレッジ」とは,知識やスキル等の意味を表し,野中(2001)が「知識経営」と「知識管理」の観点から,ナレッジマネジメントという考え方を提唱しました。

ナレッジマネジメントの基礎理論として,SECIモデルがあります。SECIモデルとは,暗黙知を形式知へと変換するサイクルを繰り返し行うことをモデルとして提唱した理論です。暗黙知とは,言語化されておらず,体や五感で学んでいく感覚的な知識を指します。例えば,熟達者の背中を見て学ぶことが該当しますが,人に暗黙知を伝えることは簡単ではないです。一方,形式知は知識を言語化したもので,客観的な知識のことです。何かをするにあたって参考にするマニュアルなどが形式知に該当します。

そして,SECIモデルには,共同化(Socialization),表出化(Externalization),連結化(Combination),内面化(Internalization)の4つのプロセスがあります。共同化は,暗黙知から暗黙知を創造することであり,経験に基づいた知識の共有であるため,体や五感を使って知識を獲得します。初任者が主任や指導教官を見て学ぶといったことが学校現場では,共同化にあたります。表出化は,暗黙知から形式知を創造することであり,得た暗黙知を共有できるように,形式知に変換するプロセスです。誰かから学んだことを教えるときには,一旦形式知にする作業を誰もが行なっています。この際の形式知の形は,言葉はもちろん,図や映像などにも変換されます。連結化は,形式知から形式知を創造することであり,一人一人の形式知を組み合わせて新しい形式知をつくりだすプロセスです。例えば,学級経営で何かを決める際に,一人一人の知識や考えを共有してクラス全体の意見としてつくりだすことは連結化のプロセスにあたります。ここでは,個人の形式知が組織の形式知へと変わります。内面化は,形式知から暗黙知を創造することであり,組織として蓄積された知識を実践して,新たな知識を体得するプロセスです。理解した形式知を行動に移したり,実践したりして新たな経験や知識,つまり暗黙知を得ます。このようなサイクルを繰り返していくことで,組織で知識を共有し,より深めることができます。

ナレッジマネジメントの考え方は,主に企業に取り入れられていますが,学校現場にも生かせるとお話いただきました。自分自身が教師になった際にも活用できますし,生徒の探究にも通じるものがあると思います。学校やクラスは一人で学ぶのではなく,組織で動いたり,集団で学んでいたりするからこそ,SECIモデルを意識していきたいと思います。

【研究の進捗報告・相談】

今回も前回に引き続き,ゼミ生が各自の研究の進捗を報告しました。今回の報告では,研究の仕方や,先行研究の活用の方法を再確認することができました。研究には,信頼性や妥当性が重要となるので,先行研究を引用したり,参考にしたりする必要があります。先行研究を引用する際には,自分の言葉で根拠を示し,なぜその研究を引用するのかを読者に納得させる必要があります。今回学んだ様々なことを今後の研究に生かしていきます。

今の時期に論文を沢山読み,知識を獲得することはもちろん,研究の方法を知り,自分の研究にも生かしていきたいです。

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日々生活を送る中で感じたことを共有することは,自身の研究に生かせなくても,ゼミ生の研究に生かせることがあると思います。そのため,本日いただいたご指導をもとに日々情報を共有することを行っていきたいと思います。

本日のゼミもありがとうございました。
今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。

(山内)

【参考文献】
野中郁次郎,梅本勝博(2001)知識管理から知識経営へーナレッジマネジメントの最新動向一.人工知能学会誌,16(1):4-11