第41回院生ゼミ

2025.1.15 第41回院生ゼミ

本日は,第41回院生ゼミが行われました。三井先生から,山梨県内の中学校での実践に関するお話をいただき,ゼミ生は査読論文に向けての進捗状況を報告しました。

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【中学校での実践の様子】

 三井先生から,山梨県内の中学校での実践に関するお話をいただきました。最近,個別最適な学びが自習のような形になってしまうことが課題の一つとしてあげられています。そのため,今回のお話でもあったように,当たり前を見直すことが必要だと考えます。例えば,授業のはじめに,授業の目標をプリントに写すことはどのくらい重要なのか等を再考する必要があります。穴埋め学習も同様,普段,プリント学習等で生徒たちに普通に行わせていることに意味はあるのかを考え直す必要があります。それよりもむしろ,授業のはじめに,教師が単元の見通しを持たせることの方が個別最適な学びを行う上で重要です。教師がはじめに見通しを持たせることで生徒は授業のイメージが出来,どのように学んでいくのが良いかを考えることが出来ます。

そして,調べ学習を行わせる際には,ネットの活用の仕方をしっかりと指導する必要があります。最近,学校現場でよく散見されるのは,検索欄の一番最初に出てくる生成AIが考えたものをそのまま自分の考えとして活用する姿です。引用元を示していることに加え,うまく要約されているため活用したい気持ちも分かりますが,それでは,調べ学習の意味がありません。自分で調べる意味を生徒に伝え,情報を整理・分析する力を育成していきたいです。その際,お話でもあったように,調べ学習の視点として,「そもそも」と「つまり」を学習者自身が生み出せるようになることが重要です。「そもそも」とは本質が分かること,「つまり」とは,要約することにあたります。これらはどの教科においても大切なことであるため,教師が生徒にこのような視点を与えるようにしていくことが重要です。

 また,実践で活用していたメタ認知を働かせる仕掛けを行った英単語プリントを紹介していただきました。そこには,単語の基本的な事項以外に「読める」,「意味がわかる」,「単語帳を見ないで書くことができる」等の項目があり,生徒がそれぞれの単語に対して自分で評価を書き込み,さらに自由に単語を練習できるスペースがありました。自分で一つ一つの単語への習熟度等を評価することで,もう少し練習した方が良い単語などを把握し,必要に応じた練習を行うことができるのは,まさに個別最適な学びにつながると考えます。このような視点を持っていると,ICTを活用し,さらに効果的な学びに向かわせることができると思うので,参考にしていきたいです。また,メタ認知的な視点との関連で,振り返りにも三井先生は注目していました。上手な振り返りを共有することの重要性やそもそもなんのために振り返りを書くのか,ということをもう一度考え,生徒にどのような指導を行うのが良いかを考える必要があります。例えば,「休んでいる人にも今日やった内容がわかるように」などと教師が視点を与えることで生徒はどのような内容をどのように書くべきなのかわかると思います。些細なことですが,この指示をするとしないでは,だいぶ振り返りの質が変わってくると考えます。そのため,教師がどのような視点を持っているかが重要であり,何をするにしても視点が肝になってくると思うので,教師である私たちが学習者に的確な視点を与えていきたいです。

【研究相談・進捗】

ゼミ生は査読論文に向け,前回三井先生からいただいたご指導をもとに研究を進展させ,生じた悩みを報告しました。主に,①質的データの見方や考察の仕方,②授業の介入と実践後の生徒の姿に関するご指導をいただきました。①に関しては,得られたデータをどう見ていくかが重要となってきます。カテゴリを生成した際には,頻度や事前事後の変容を見て考察することができます。その際,検定を行い有意差が見られたかを確認することも科学的な根拠となるため重要となります。しかし,有意差が見られなかった場合にも,個人に焦点を当てた言及等ができるため,多面的・多角的にデータを見ていくことの大切さを学びました。また,②に関しては,自分が介入したこととその結果として見られた姿を事実として示し,その上でどんな考察を行うかが重要となってきます。事実と考察の部分をきちんと明確にし,どんなことが言及,または示すことができるのかをしっかりと考えていきます。

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本日のゼミもありがとうございました。

ゼミ生は2年を締めくくる研究のまとめである院の実践報告書に本腰を入れる時期になりました。自分が行ってきたことを整理し,読み手が真似できるような再現性を意識しながら仕上げていきましょう。

次回のゼミでもご指導のほどよろしくお願いいたします。

(山内)