第4回院生ゼミ

2023.05.10  第4回院生ゼミ

 本日は,第4回院生ゼミが行われました。本日も,とても有意義で学びの深い環境に身を置くことができ,大変嬉しく思います。

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【三井先生のお話から】

 本日はTPACKモデルと,学習方略の利用段階についてのお話をいただきました。

 TPACKモデルとは,教師として必要な「教育の技術(TK)」,「教育の方法(PK)」,「教科の内容(CK)」の3つの要素を組み合わせた概念を指します。この三つの要素は互いが関連し合うものであり,教師は,知識・教育技術・方法をバランスよく身につけることが求められています。例えば,教師は知識のみを身につけていたとしても,それを学習者に適切に伝えたり,考えさせたりする能力がなければ教育の効果は発揮されません。TPACKは,異なる要素で構成されていますが,どれか1つを偏らせるのではなく,3つをバランスよく身につけることが重要だということを学びました。

 学習方略の利用段階とは,人がどのような段階を経て技術を習得できるようになるのかということに着目した研究分野です。(LearnTern 2019)。学んだ知識を実践できていない,あるいは実践されていないというときには,学習者に利用段階ごとの障害が生じていると考えられます。授業者は、段階に応じた適切な支援が必要となります。

 この理論では,「媒介欠如」・「産出欠如」・「利用欠如」の3つがそれぞれの段階ごとの障害として考えられています。まず,「媒介欠如」とは,学習者が方略を知らない段階で起こる障害で,方略についての知識を教えるということが必要となります。次に,「産出欠如」とは,学習者が知識を持っているにも関わらずそれを利用しない段階で起こる障害で,方略の価値を認識させる必要があります。最後に,「利用欠如」とは,学習者が方略を利用しようとしてもうまくいかない段階の障害のことであり,知識不足や熟練度不足を乗り越えさせることが求められます。

 教師は,生徒がどの段階にいるのかということをよく観察し,一人一人の段階に応じた支援を行うことが重要であると学びました。私自身,繰り返し問題を解かせることばかりに執着してしまっていたため,今回の学びは自らの生徒への支援方法を反省する機会となりました。

【研究内容についての議論】

 今回,ゼミ生がそれぞれの研究について発表する機会を設けていただきました。私自身,発表の内容以前に相手に情報を整理して,見やすい資料で説明するということができておらず,スキルの未熟さを痛感しました。重要な点をいかに簡潔に資料としてまとめるかということを考えていきたいと思います。また,研究の目的を明確化にし,そのためにどのような準備を行うかをはっきりさせることが大切だというお話をいただきました。引き続きゼミ生の中で議論を交わし,より良い研究が進められるようにしたいと思います。

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本日もありがとうございました。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。

(青山)

参考文献

LearnTern(2019)テクニックや知識を実践するための3つの障害、媒介欠如・産出欠如・利用欠如とは?【方略利用の発達段階】.https://onl.sc/sJhyJLq(参照日 2023.5.10)