第9回院生ゼミ記録

2023.06.14.第9回院生ゼミ記録

本日は第9回院生ゼミが行われました。

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【三井先生のお話から】

本日は, SAMRモデルについてのお話をいただきました。SAMRモデルとは, R Puentedura(2010)によって考案されたモデルで, テクノロジーが既存の教え方, 学び方にどのような影響を与えるのかを示す尺度となるものです(三井 2014)。

 SAMRモデルは, 学びを強化するためのS(代替), A(拡大)の段階と, 授業デザインの転換に向かうM(変形), R(再定義)の段階に分類でき, 4段階の分類でも, SA段階とMR段階にの間には学びのスタイルの進化という「壁」があります。例えば, 調べ学習の発表の際, 従来であればその場にいて , 配布された資料を見て説明を聞かなければ学びは成立しませんでしたが, クラウドを用いることでその場にいなくても学ぶことが可能となりました。このような学びのスタイルの変化こそがMR段階への到達を意味するものとなります。新たな学びのデザインが当たり前のものとなることで, さらに新たな学びのデザインがSA段階から組み立てられるというサイクルが生まれます。

 テクノロジーをより教育に活かしていくため , 教師はまず自分の実践がどの段階にあるのかを考えることが重要だというお話をいただきました。当たり前からの代替とは何かということを考え, まずはSA段階から自らの授業で挑戦してみたいと考えました。

 効率の面だけでなく, 生徒の深い学びを実現するためにも教師がSAMRモデルを意識することが必要なのではないかと今回のお話を通じて感じました。常に進化するテクノロジーを活用し, それに合わせた授業デザインを考えていきたいと思います。

【研究報告】

 今回も, 4人の院生がそれぞれの研究の進捗状況について共有しました。今回の研究報告では, 特に2点の大きな学びがありました。

 1点目は, 現在の時点では先行研究の分析を徹底的に行うことが重要だということです。論文の中で自分の考えを述べるのは「考察」部分のみであり, オリジナリティはあくまで研究の視点にあるということを再確認する機会となりました。まずは過去の知見から研究の動向や自身の研究の立ち位置を定めることが重要だと感じました。

 2点目は, 検定方法についての基本的な知識を得る必要性があることです。検定方法についての知識を得ることは, 今後調査を行い, 結果を適切に表現するために必要になります。研究で的確に結果を述べることができるよう, 学んでいきたいと思います。

 一人一人, 徐々に研究目的や内容が明確になってきています。今後も, 学び合い, 研究の質を高め合いながら切磋琢磨していきたいと思います。

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本日もありがとうございました。
次回のゼミも, どうぞよろしくお願いいたします。

(青山)

参考文献
Ruben R Puentedura A Brief Introduction to TPCK and SAMR (2010) 
http://www.hippasus.com/rrpweblog/archives/2011/12/08/BriefIntroTPCKSAMR.pdf (参照日2023.0614)
三井一希(2014)「SAMRモデルを用いた初等教育におけるICT活用実践の分類」日本教育工学会2014年度第1回研究会予稿集,14(2):37-40