第22回院生ゼミ

2024.01.24第22回院生ゼミ
本日は第22回院生ゼミが行われました。
三井先生から,デザイン研究についてお話いただきました。
その後,模擬授業の検討,研究の進捗を報告し,ご指導いただきました。

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【デザイン研究について】

 本日お話しいただいたデザイン研究とは,保坂(2019)より,近年,教育工学でも研究の質を深める方法として注目されています。実際に学校で研究活動を行う際,実験研究のように授業の統制を図り比較検討することは,現実的に厳しいです。なぜなら,混沌とした現場では,意図的に教室や子どもたちを全てコントロールして,仮説の検証を行うことは出来ないからです。例えば,プリントの有用性を図るために,プリントを活用するクラスと活用しないクラスで検証したとします。しかし,2つのクラスは,それぞれ子どもたちの学習スキルや態度,教室の環境等の条件が異なるため,正確に検証することは難しいです。また,子どもたちを「実験対象」として捉える事は,倫理的に問題があります。したがって,混沌とした現場の中で,子どもたちの実態やクラスの環境に合ったデザインを修正していき,次の実践に直接役立つような知見を得ることを目指します。

 そしてデザイン研究を検証する際に,従属変数を明確にすることが重要です。複雑な状況で起きている学習に対して,複数の従属変数を限定した上で,どのように変数が変容したのか,研究を進めていきます。対象の子どもに対して事前に調査を行い,事前と事後を比べて変容を観察することも求められています。また分析は,先行研究や文献を参考にして行う必要があります。デザイン研究は,デザイン原則の提案の上で成り立つので,文献に基づいて検証していくことも必要です。

 私たち,教育工学を研究をしている院生として,デザイン研究を意識して,今後も実践研究を行っていきたいと思います。

【教育実践フォーラムに向けて】

 本日も 各自の研究の報告を行い,三井先生から,分析の留意点や研究の結論についてご指導いただきました。

 分析は事実に対する考察を行うことが大切です。望ましい変容や回答が上手く得られなかったことについては,課題と捉えることもありますが,事前と事後で変わらないこともあります。変化がない部分の内容が,学習を通じて強固になった可能性もあります。事前と事後で比較した理由を明記する事も重要です。

 また研究はリサーチクエスチョン(以下,RQ)を解決するために行うものです。RQに対する答えが無ければ,自分の研究の目的に挙げている「どのように寄与できたのか」について示すことができず,一貫性のないものになってしまいます。更に各自の研究をブラッシュアップし,RQに沿った主張が出来るように努めます。

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教育実践フォーラムまで3週間と迫っています。
それまでに準備し,発表できるように頑張ります。

本日のゼミもありがとうございました。
今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。

(青木)

〇参考文献
保坂敏子 (2019) 日本語教育におけるデザイン研究のすすめ. 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要, 20:157-168